ところで、それからさらに進んでいくと、今度は、かけ算とわり算の意味をよく理解されていないお子さんがいらっしゃることがわかってきました。
九九を覚えてかけ算の問題は一応できるものの、実際の応用となると、その意味がわかっていないために、問題が解けないというケースが有るようです。そこで、まず、今回はすこしかけ算について見て行きたいと思います。
まず、下の九九の表を見ていただきたいのですが、どの段も、上と下の行の差はその段の数(1の段だったら1、2の段であれば2)となっていることがわかると思います。つまり、かけ算は、日常良くある同じものをいくつも足すことを効率良く行うための工夫ということなのです。
具体例を挙げてもう少し、詳しい解説をしてみましょう。
よくある例としては、1個120円のりんごを5つ買うということを考えてみましょう。
足し算で考えれば、このりんご5個の合計の値段は、
120+120+120+120+120=600(円)
ということになります。これをかけ算を使うと、もっと簡単に、
120x5
という式で表せ、もちろん、合計は600円と同じです。
さて、この時(かけ算で答えを求める時)どういう計算をしているかというと、
1の位の数が0なので、
0(円)x5(個)=0(円)
これに加えて、
10の位が2なので、
20(円)x5=2x5x10=10x10=100(円)
(この計算がわかりにくいというひとは、
20円は10円玉が2枚だから、
10円の部分は、10円玉が2枚が5個分で10枚
10円玉が10枚のときの価値は100円
というように、具体的に思い浮かべながら考えるとわかりやすいです)
さらに100の位の部分を考えると、
120円のりんごを買うときに必要な百円玉は1個ですから、
100(円)x5(個)=500(円)
というように、それぞれの1の桁、10の桁、100の桁の部分を掛け算し、それを合計、つまり0+100+500という計算をして600円になるということになります。
どうでしょうか、かけ算について、改めて考えてみると、面白いですね。
つまり、かけ算は、足し算をたくさん繰り返すのではなく、例えばりんご1個120円であれば、120という数字の各桁は、0から9までの数字で表せるので、各桁のかけ算に分解して、足し算してやれば、どんなに多い個数でも、各桁の回数分だけ(正確に言えば、かけられる数と、かける数の桁数を掛けあわせたものですが)に計算量が抑えられる、という仕組みなのです。
われわれが何気なくやっていることも、一つ一つ見ていこうとすると意外と難しいですよね。
ちなみにコンピューターは、単調なことを素早く繰り返すことが得意ですから、基本的には、かけ算も足し算として計算します。もっとも、最近は、乗算器という独特の仕組みのものを持っているものも多いです。GPUコンピューティングなどはこういう乗算器のようなしくみををうまく使ったやり方だったりもしますね。
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